人口に対するシニアの割合は年々増加していますが、その中でもデジタルシニアと呼ばれる方々が増えていることを知っていますか? 中野:なんとなくは知っていますが、詳しくは理解できていないです… 桐山:デジタルシニアとは求める情報をインターネットで調べたり、SNSを使って友人とコミュニケーションをとるシニア世代を指します。スマホやPC、タブレットといったデジタルツールを複数台持ち、現役の若者世代にも劣らないITスキルやSNSスキルを持っている人も多く見られます。 中野:確かに、私の祖母も80代ですが、タブレットを使って毎日家族グループにチャットを送ったり、遠くに住んでいる親戚にビデオ通話をかけていたりします。 桐山:そう、シニアの中でも、デジタル技術を日常的に使いながら生活を送っているシニアが増えているんです。 実際に、総務省が実施した*1「令和4年通信利用動向調査の結果」を見ると、2020年から、シニア層(60歳以上)のインターネット利用率は右肩上がりに上昇しています。 *1 総務省,「令和4年通信利用動向調査の結果」(2023年5月29日),(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/230529_1.pdf) 中野:60代未満は横ばいですが、60代以降は利用率が伸びていますね。 桐山:2020年の60代ネット利用率は83%ですが、2年で約4ポイント上昇していて、シニアのデジタル化が進んでいることが分かりますね。そして今後もシニアのデジタル化は加速していくことが予想されます。 中野:デジタルシニアが増えていることは理解できましたが、デジタルシニアって具体的にどのような方々なのでしょうか? 桐山:いい質問ですね。シニアへのデジタルプロモーションの重要性が高まる中で、デジタルシニアへのターゲット理解は非常に重要になります。 朝日広告社ではシニアを十把ひとからげにしないために「ASAKOシニアクラスタ調査™」を実施しています。その調査は、シニア層(60歳以上)1,000人に対し、趣味や幸福度、ネット利用状況などについて調査・分析をしました。似た傾向のデータをグルーピングできる機械学習の一つであるクラスタ分析を実施し、シニア層を6つのグループに分類しました。 →シニア層のクラスタ分類についての詳細はこちら *シニアクラスタメソッド 以下、6クラスタの概要を説明します。 ① 世話好きシニア 趣味、旅行にと活動的で、その楽しみには人との触れ合いや応援などの人との交流にも及んでいることが特徴。情報収集にはSNSなどデジタルを活用し、ネットリテラシーは高い。 ② つつまシニア 日々の生活を波風立てずに穏やかに暮らすことを重視し、全体的につつましい生活を送っており、インドア系の活動が目立つ。幸福度、健康状態、余暇を楽しむ金銭的余裕、いずれもシニア層全体と比べて低調です。 ③ 我が道シニア シニア層の中では60代前半が3割弱を占めており、年代が若めの層。人生謳歌の意識が高く、自分の人生を充実させることに集中しています。 ④ ノスタルシニア 若かりし頃の価値観を重視する層で、若い頃や自分の経験を最も信用している。シニア層全体に比べ、女性の割合が高く金銭的余裕は低調だが幸福度は平均的です。 ⑤ 風まかせシニア 自然に年齢を重ね、なすがまま、成り行きに身を任せる傾向がある層。情報入手やネットリテラシーは他の層と比べると低い傾向。 ⑥ 今でしょシニア 好奇心が旺盛で、過去を省みるよりも「今」を大切に生きる意識が高く、活動的な層。情報入手の意識、ネットリテラシー、SNSの利用度、全て高い傾向にあります。 桐山:6つのクラスタのうち、デジタルリテラシーが高いのは「世話好きシニア」と「今でしょシニア」でした。 中野:活動的で人とのつながりを重視する「世話好きシニア」と、いつまでも好奇心旺盛な「今でしょシニア」がデジタルシニアってことですよね。アクティブなシニア層だからかなんだか分かる気もします。 桐山:そうなりますね。デジタルシニアの2クラスタをより理解するため、彼らの趣味を見てみましょう。 桐山:次に、各クラスタごとに「現在していること(趣味)」を見てみましょう。 中野:どのクラスタも「テレビ」や「国内旅行」が上位を占めていますね。 桐山:まぁテレビになじみのある世代ですし、時間の余裕もあるため国内旅行が人気なこともうなずけますね。ただこれではシニア層全体の漠然とした理解にとどまってしまいますね。 もっとクラスタごとに「現在していること」の傾向の差を把握したいですね。 中野:それならぴったりの分析があります! それでは、カテゴリー同士の関連性や傾向を視覚的に理解できる統計分析手法の一つである「コレスポンデンス分析」を実施してみるのはどうでしょうか。 桐山:各クラスタの傾向が一目で把握できるのはいいですね。ぜひやってみましょう! コレスポンデンス分析の簡単な説明も合わせてお願いします。 *分析結果の解釈だけを知りたい方は、次の「【解釈篇】各クラスタを「趣味」でコレスポンデンス分析」へお進みください。 中野:コレスポンデンス分析は、クロス集計表を見やすくするためのものです。コレスポンデンス分析をすることで、似ているもの同士を近くに配置する散布図を描くことができ、項目間の関連性を直感的に理解できるようになります。通称「コレポン」と呼ばれます。以下が、分析結果を可視化した図になります。 桐山:可視化されているのは分かりますが、これってどういうふうに読み取ればよいですか? 中野:どう読み取ればいいか難しいですよね。この図では青色の三角が「クラスタ名」を表し、ピンク色の丸が「現在していること」を表しています。 そして、コレポンは下記のような読み取り方ができます。 ① 原点(0,0)からの方角が同じデータは、似たような特徴がある。 ② 原点(0,0)からの距離が離れているほど、他のデータと異なる特徴がある。 中野:上記の見方で傾向の似ているピンク色の丸と青色の四角をグルーピングし、解釈していきます。 桐山:上下左右に矢印が表示されているけど、これは何を意味しているのでしょうか? 中野:こちらは縦軸と横軸が何を意味しているのかを解釈したものです。横軸で最も左に配置されたプロットは「テレビ」「ペット」「終活」であり、最も右に配置されたプロットが「ボランティア」「海外旅行」「楽器演奏」であることが確認できます。この傾向から、横軸の左側は「個人的な趣味」を示し、右側は「集団・交流的な趣味」を示していると解釈できます。なんとなく、左にあるものは個人で黙々と行う活動、右は外に出て社会的な交流をするものが多い気がしませんか? 桐山:たしかにそうですね。真ん中付近にある、「国内旅行」は左にありますが、これはどういうことなのでしょうか。 中野:解釈が難しいところですが、仏閣めぐりなど、落ち着いた旅行を回答者がイメージしていたのかもしれません。とはいえ、真ん中(原点)付近のものは「際立った特徴があまりない」ことを指しているので、あまり気にする必要はありません。端っこの極端な特徴を持つものをベースに軸がどのような意味を持つかを考えるのがおすすめです。 桐山:ふむふむ。縦軸はどのような意味があるのでしょうか? 中野:こちらは難しいところですが、下の方には生活基盤や日常に根差した行動(園芸、引っ越し、近所の交流など)が多く、地に足がついた感じがします。一方、上の方は流行や趣味色の濃い行動(推し活、コレクション、ファッションなど)があり、ワクワクする、嗜好性が強めな趣味な気がしますね。これに沿って縦軸に「日常・生活志向」、「ワクワク・流行志向」とラベルをつけました。 桐山:なるほど! 軸に意味があるとクラスタの解釈がなんとなく見えてきますね! 中野:おっしゃる通りです! 中野:軸の意味と照らし合わせると、特にデジタルリテラシーの高い「今でしょシニア」、「世話好きシニア」、は以下のような傾向がありました。 中野:「今でしょシニア」は、縦軸の上下はあまりない一方、横軸ではかなり左に配置されており、「個人・内的志向」が強く、他のクラスタに比べると、「テレビ」や「終活」をする傾向が見えます。 桐山:「今でしょシニア」は好奇心旺盛で今したいことをする傾向があるため、自分の余生の過ごし方を意識して自分なりの終活を考えてみたり、世話好きシニアに比べ、男性が多いこともあり、テレビを見たりと、個人的な行動をしていることがうかがえますね。 中野:はい。一方「世話好きシニア」は、かなり「社会・交流志向」に振れており、他のクラスタに比べ「演劇鑑賞」や「習い事」などをする傾向が見えます。 桐山:「世話好きシニア」は女性の割合が高いことも特徴であり、同世代の女性友達と料理教室に行ったり、コンサートに行ったりしていることが想像できますね。 中野:はい。このように、同じデジタルシニアでも「今でしょシニア」は、テレビ視聴など個人的な趣味をする傾向が見られ、「世話好きシニア」は友人との交流など集団的な趣味を好む傾向が見られるというように、正反対のタイプであるといえます。 桐山:日本はシニアの割合が総人口に対して多くを占める中、デジタルシニアと呼ばれる、ネットリテラシーの高いシニア層が増えています。 シニア世代のデジタル化は今後も加速し続けると予想され、シニアへのデジタルマーケティングの重要性は高まっていくと言えるでしょう。 中野:その中で、シニア層の的確で詳細なターゲット設定は重要になると言えますね! 桐山:その通りです。クラスタ×コレポンの分析結果からも分かるように、ターゲット設定はとても大事で、シニア層を十把ひとからげにすると全くコミュニケーションできないことが見て取れるでしょう。これは何もシニア層に限ったことではなく、マーケティング全般に言えることですが、シニア層は全世代の中で最も長く生きている世代であり、その分「多様な属性×多様な志向性×多様な価値観」で構成されるため「多様の3乗」となるぶん、より重要と言えるわけです。 中野:確かに! 桐山さんと違って、若い僕にはシニア層のイメージがあまりピンときていなかったので大変勉強になりました。 桐山:うるさい(笑)。では次回では、各クラスタへの訴求軸の部分である「クラスタごとに適したコンテストとは?」について議論しましょう。 中野:よろしくお願いします! 桐山:朝日広告社では、自社調査データを基にシニア層への適切なマーケティング支援ができる環境をご用意しております。 また、「ASAKOシニアクラスタ調査™」レポートは下記リンクから無料でダウンロード可能ですので、もしご興味がありましたらぜひお試しください。 https://www.asakonet.co.jp/solution/detail-1181/senior-cluster-method/ *マーケティングソリューション名「シニアクラスタメソッド」をお選びください。