広告主様から相談を受ける際、テレビCMとデジタル広告、どちらが効果あるのか?ということをよくご質問いただきます。特に同じ動画ということで、デジタル動画広告との比較でご質問されるケースが多いでしょうか。 効果の定義はいろいろありますが、同じ金額を出稿した場合、どちらがターゲットにより多く届くのか、どちらがターゲットにより効率的に届くのかという視点が、最もシンプルな疑問となるようです。 というのは、テレビCMの投下量は一般的に「GRP(一定期間に放送されたテレビCMの視聴率の合計)」で表しますが、デジタル広告の投下量は「imp(インプレッション。デジタル広告が表示された回数)」で表すため、単純に比較することができないからです。 例えば、1億円で投下できるテレビCMの量は700GRP、デジタル動画広告は3,300万impのように出てくるため、どちらがターゲットにより多く届けられるのか、また効率的に届けられるのか、ぱっと見ただけでは分かりません。 同じ指標(単位)で比較することができればよいのですが、肌感覚としてはこれまでそういった形での比較は、ほとんどなされていなかったように思います。 impは「デジタル広告が表示された回数」です。 おおむねPCやスマートフォンは、1人で画面を見るので、1回の広告表示に対して2人が見ているということはほとんどありません。そのため、impは人1人に対してデジタル広告が表示された回数と考えられます。(最近はスマートテレビの普及によりテレビ機器でデジタル動画等を見る人が増えているので、必ずしも画面を見ている人が1人とは限らないのですが、ここではいったん置いておきます。) それと同様に、テレビも人1人に対してテレビCMが表示された回数をGRPから算出できれば、同じ定義で比較することが可能となります。 GRPは「一定期間に放送されたテレビCMの視聴率の合計」です。 一般的に知られているのは、世帯GRPですが、これは世帯が単位になっているので、人ベースでの視聴状況が分かりません。 そこで個人GRPと呼ばれる、人ベースの視聴率を用います。 個人GRPも、個人全体(男女4歳以上)、TEEN(男女13~19歳)、M1(男性20~34歳)、M2(男性35~49歳)、M3(男性50歳以上)、F1(女性20~34歳)、F2(女性35~49歳)、F3(女性50歳以上)のように、ターゲットごとに視聴率を確認することができます。 例えば、あるエリアのテレビ視聴可能人口(4歳以上男女)が100万人いるとします。 その場合、個人全体GRP 10%は、100万人のうちの10%、つまり10万人にテレビCMが視聴された(=表示された)という意味になります。つまり10万impです。同様に、個人全体GRPが500%の場合は、延べで500万人にテレビCMが視聴された(=表示された)という意味で、500万impとなります。 エリアの母数によって結果も変わるため、例えば同じ個人全体500%でも、北海道地区と関東地区では、視聴された(=表示された)量(imp)が異なる結果となります また、100万人のうちM1(男性20~34歳)の人口が、15万人だとします。 M1のGRPが500%だったら、15万人の500%で延べ75万人にテレビCMが表示されたという計算になり、M1への露出量は75万impとなります。 なお、テレビは若年層ほど視聴率が低く、高年齢層ほど視聴率が高いため、個人全体GRPが500%の場合でも、その内訳であるM1(男性20~34歳)では175%、F3(女性50歳以上)では750%のように個々のターゲットで見るとGRPが異なっています。 ターゲットのGRPは、テレビCMを投下する局や時間帯によっても異なってきますし、もちろん日々の変動もあります。以上のように、テレビCMのimp数が算出されれば、投下予算からimp単価(1impあたりの料金)も算出可能になるため、デジタル動画広告の“露出量(imp)”や“露出単価(imp単価)”と比較が可能となります。 (※デジタル広告の場合、imp単価は1,000impあたりの料金を指すこともあるため、どちらを指しているかご確認ください。)ただし、これはあくまでも露出量(表示回数)のみでの比較で、両者の注視率や視聴完了率の違いは加味されていません。 デジタル動画広告は表示されてもスキップされて最後まで見られないケースも多いですし、テレビCMもCMの合間にトイレに行ったり他の作業をしたりでCMを見られていないケースも考えられます。 そのため、1impの重みをどう捉えるかはまた別の話となります。さらに、リーチ(到達人数)やフリークエンシー(1人当たり平均何回届いているのか)の違いも加味されていません。同じ100万impでも、1人1回100万人に届いているケースもあれば、1人10回10万人に届いているケースもあります。 最終的にターゲットにどれだけ広告が認知されるかは、また別の話になることに注意する必要があります。 シンプルに「どれだけ広告が表示されたか」という「imp」で、テレビCMとデジタル動画広告を同じ土俵に並べてみましたが、今回、簡単にテレビCMの投下量をimpに換算して確認できるツールを作成しました。 ざっくりとした概算値にはなりますが、サイトに搭載していますので、よろしければいろいろお試しください テレビCMのインプレッション換算シミュレーター↑クリックするとシミュレーター画面が開きます 例えば、この文章の冒頭に書いた予算1億円でシミュレーションしてみましょう。 シミュレーターでは、エリア、時期、CM投下ゾーン、予算の4つを指定します。 エリアは「関東地区」、時期は「5月」、CM投下ゾーンは「全日型」、予算は「1億円(10,000万円)」を選択して「算出する」を押してみます。 個人全体GRPが約700GRP、imp数が約2億6,800万、imp単価が0.37円と出てきます。 例えば、デジタル動画広告の同じ予算のimp数がimp単価3.0円想定で3,300万impの場合、テレビのほうが同じ予算で圧倒的に多く届けられることが分かります。 一方、上記はすべての年代層に広告を届けた場合の比較です。 もしM1層(男性20~34歳)だけに広告を届けたい、それ以外のターゲットに広告が届いても無駄になるというケースの場合、デジタル動画広告はターゲティングで対象を絞って届けることが可能ですが、テレビCMは、M1以外の方にも届いてしまいます。そのため、その分の費用をM1層で負担する構図となります。 シミュレーション結果のM1のimp数を見ると約980万で、imp単価が約10.3円となっていますが、imp単価は、全予算をM1層の露出量で割った数値となります。 この場合、デジタル動画広告のほうが同じ予算でターゲットに効率的により多く届けられるということが分かります。 impへの換算は、どちらが効率的により多く届けられるかという視点でメディア選定の参考にするケースもありますが、テレビCMを実施前提で、テレビCMでは届きづらいターゲットに対して、デジタル動画広告で補填する際の投下量を決める数値として活用することもあります。 例えば、50歳以上の層はテレビCMでまるっとカバーし、35~49歳の層はテレビCMで足りない投下量をデジタル動画広告でターゲティング配信してカバーするというイメージです。 なお、紹介したシミュレーターはあくまでも概算の数値の算出となります。実際のプランニングでは、広告主様の実際のパーコスト、使用局、局配分、ターゲット含有率から、より精度の高い数字を算出します。気になられた場合は、お気軽にお問い合わせ・ご相談いただければ幸いです。