一昔前は、月曜日の電車といえば『週刊少年ジャンプ』を読んでいる学生やサラリーマンが多くいましたが、今や電車でコミック誌を読む人はめっきり少なくなりました。 

データからみるマンガの影響力

IP(知的財産)とは、人間の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などで、 財産的な価値を持つ物を指します。たとえば映画や音楽、マンガやアニメのキャラクター、ロゴマークやアイデアなどがIPにあたります。ここではマンガに焦点を当ててお話したいと思います。
一昔前は、月曜日の電車といえば『週刊少年ジャンプ』を読んでいる学生やサラリーマンが多くいましたが、今や電車でコミック誌を読む人はめっきり少なくなりました。
ではもうマンガは読まれなくなったのか?というともちろんそうではなく、代わりにスマートフォンでスクロールしながらマンガを読んでいる人が、この数年で劇的に増えました。この電子コミックの登場により今コミック市場は過去最大の市場規模となっています。

(注1)

上記グラフの通り、2021年のコミック市場全体(コミックス+コミック誌+電子コミック)は6,759億円。 電子コミックが前年比120%程度で増加しており、1995年の市場のピーク(5,864億円)を2年続けて更新しています。

次にマンガのキャラクターに関する調査データをご覧ください。
この調査は2020年9月に日本国内在住の男女3~74歳2,000名を対象として、講談社が楽天インサイトへの委託で実施したキャラクターに関する定量調査で【キャラクターが生活者に提供する体験価値】と【キャラクターがもたらす効果】に関するデータになります。

(注2)

キャラクターが生活者に提供する体験価値としては、「楽しい気分になりたい(61.4%)」「癒されたい(57.9%)」「元気になりたい(55.0%)」「ほっとしたい(52.6%)」など癒しや安らぎのスコアが高く、一方「身の回りにつけたり、飾っておきたい(33.8%)」や、「一緒に遊びたい(30.5%)」など、収集や非日常といった体験も提供していることがわかります。

また、キャラクターの効果としては、「目にとまりやすくなる(63.6%)」「意識しなくても、つい視野に入ってくる(52.9%)」「キャラクターを見かけた時に、その企業や商品の広告が思い浮かびやすくなる(52.2%)」などのスコアが高く、他にも、「その企業の商品をほしくなる・サービスを利用したくなる(36.8%)」「言っていることが、わかりやすくなる(38.4%)」「家族や友人との共通の話題になる(40.1%)」なども同様に高いスコアになっています。
キャラクターを使うことで、注目が高まるだけでなく、興味や好感度も高まると言えます。

このようにキャラクターは生活者に対し様々な体験を提供しており、それを活用することで商品や広告の好感度を上げる効果があります。
つまりマンガは、意識変容を促す強力な “エンゲージメントコンテンツ”と言えます。

マンガを活用するメリット

コミュニケーションをするうえで、マンガを活用するメリットをいくつかピックアップしたいと思います。

①訴求力
ターゲットに合った人気マンガをマーケティングに活用すれば、多くの人の目にとまりやすく、商品やサービスへの注目は高まります。例えば『島耕作』であれば、シリーズ累計発行部数は4,500万部となり、2020年の「上司にしたいキャラクターアンケート」でも1位(注3)になるなど、ビジネスマンには高い訴求力があります。ビジネスマン向けの商品やサービスには親和性も高く、ユーザーに刺さりやすいと思われます。逆にファン層がそれほど広くないマンガでも、コアな人気があり商品のターゲットに合致すれば、スモールマスの効果が期待できます。

②伝達力
「絵とセリフ」で構成されるマンガは、文字情報を絵でフォローするので、難しいことを分かりやすく伝えることに長けています。
また、一般的に成人は、通常1分間に「読む」文字数は1,000字程度なのに対し「見る」は約2,000字分の情報を処理すると言われています。つまりマンガのほうが同じ時間で2倍の情報を伝えられることになります。

③共感力
マンガの作品にはそもそもファン層が存在しています。一般的に作品のファンであればあるほど、登場するキャラクターに共感を覚えやすく、キャラクターが何かを体験したり、おすすめしたりしていると、意識に投影されやすくなり、興味や好感度が高まります。
また同じ作品のファン同士でつながりやすく、そこからの拡散も期待できます。

上記3点以外にも、キャラクターを起用することで商品やサービスを第三者視点で語らせることができることも、マンガを活用するメリットの1つだと思います。
ともすれば広告主からの押し付けに感じられるようなメッセージも、キャラクターを起用することで広告主からの一方的な発信ではなく、キャラクターの言葉になりユーザーに受け入れやすくなるということも考えられます。

マンガ活用の事例

マンガのメリットをうまく活用した事例をご紹介したいと思います。
アニメ化もされ、スピンオフ作品も多い人気作品の『はたらく細胞』を起用した大塚製薬「ポカリスエット」の事例になります。

干上がった表皮付近と、熱中症に陥った体内世界
汗腺センター隊長がポカリスエットの雨乞いならぬ「ポカリスエット乞い」
「ポカリスエット戦艦」が現れ体内世界を潤し、水分で満たされる体内世界(注4)

この事例は10分程度のアニメ動画になりますが、人の体の細胞を擬人化した設定で熱中症という症状を分かりやすく伝え、またその熱中症予防になぜポカリスエットが良いのかを図とセリフで分かりやすく解説しています。
2019年から今も続くコラボ企画で、作品の特徴とマンガのメリットを生かした良い事例だと思います。

サステナビリティとマンガ

企業においてサステナビリティへの取り組みは、今や必須となっています。
サステナビリティコミュニケーションをすることは企業活動に必須というだけでなく、共感や賛同を得て、理解者やファン、仲間を増やしていくことにもつながります。
共感してもらえる、ファンになってもらえるコミュニケーションを作るには伝わりやすい方法で伝えることが大事です。
統合レポートに記事として入れ込むだけや、ホームページの片隅にCSRレポートを掲載するだけですと、一般的にはその情報は届きません。仮に届いたとしてもそれが文字や数字の羅列だったり、堅苦しいフォーマットで作られたものだと、せっかくのサステナビリティへの取り組みがしっかり読んでもらえないかもしれません。
サステナビリティコミュニケーションを取る上では、見つけてもらえる場所で、伝わりやすく表現することが重要です。

少し難しくなってしまいがちなサステナビリティコミュニケーションも、マンガを活用すれば、前述した訴求力や伝達力、共感力によって誰にでもより分かりやすく表現することができ、また触れやすいきっかけも作ることができると思います。

このように、サステナビリティコミュニケーションとマンガは相性が良いと考えます。せっかくの社会のための活動をできるだけ多くの人に伝えるべく、マンガを活用してみませんか?

(注1)
出版科学研究所「コミック販売額」
https://shuppankagaku.com/statistics/comic/(注2)
講談社C-Station
「データでわかった、キャラクターが提供する体験と効果の実像| マンガ・キャラクター 活用の極意と最新事情」
https://c.kodansha.net/news/detail/36532/(注3)
講談社『島耕作』セールスシート内資料
調査対象:「ゲオアプリ」会員
調査期間2020年2月28日~3月2日
サンプル数:5,695人(男性3,561名 女性2,134名)(注4)
大塚製薬株式会社「ポカリスエット×はたらく細胞」
https://pocarisweat.jp/hs/index.html
  • また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
  • 各記事における最新の動向につきましては、当社までぜひお問い合わせください。

著者プロフィール

宮澤 光流

宮澤 光流 (みやざわ みつる)

コンテクストメディア部

前職は雑誌中心の広告会社に勤務。2002年にASAKO入社。営業としてアパレルや通販会社などのクライアントを10年担当。2013年に現コンテクストメディア部(旧雑誌部)に異動し、講談社や小学館など大手出版社を担当。出版社のコンテンツを生かしたタイアップなどの企画・進行業務を行っています。

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