ブランディング パーパス ウェルビーイング 経営 2023.06.06
従業員が仕事に誇りを持つには?  パーパスブランディングで成果を出している企業に共通した特徴を調査から分析

目次
はじめに
パーパスの社内外への浸透における課題
従業員の自社への認識と継続成果率
従業員の「誇り」に寄与する要素
パーパスで成果を生み出す8つの項目
これからパーパスブランディングを始める方へ

はじめに

 この記事は、パーパスに関するナレッジコンテンツ「パーパスの規定・浸透で業績も変わる? パーパスがインナーブランディングに与える効果を調査から分析」の続編として「継続的な成果を生み出すためのパーパスブランディング」に関する示唆をまとめたものです。

前回はパーパス規定や浸透状況と企業の業績の関係を見ることで、パーパスブランディングのインナー効果をご理解いただけたかと思います。

調査結果から、

  1. 継続的な成果を生むには、「理解・納得されるパーパス」を越えて「共鳴されるパーパス」を規定することが重要である。
  2. 成果が出やすい社内浸透タッチポイントは「業務外での従業員が集まる場」「社内休憩スペース・喫煙所」「社内放送・アナウンス」など「インフォーマルな対話」や「Face to Face」が浸透に寄与している。

という実態が明らかになりました。

 では、パーパスが共鳴されるまで深く浸透させていくに当たり、どんなパーパスを規定すれば良いのでしょうか。今回も自社調査『ASAKOインナーパーパススコア™調査』※1、国内55業界に従事する20~59歳のビジネスパーソン6,613名の回答結果を用いて、パーパス継続成果率の高い企業の「在り方」を分析していきます。本記事が貴社のパーパスの規定・社内浸透におけるヒントになれば幸いです。

 なお、パーパスの規定、浸透、成果の度合いについては朝広独自の指標『インナーパーパススコア™』を用いて比較・分析しています。

パーパスの社内外への浸透における課題

 まず、現状のパーパスの社内外への浸透における課題について、以下が挙げられました。

 最も多いのは「パーパスを規定したものの、現場レベルまで共感・共鳴されいていない」。次いで、「パーパスは組織内に浸透しているものの、現場レベルの行動に落ちていない」、「パーパスを規定したものの、現場レベルまで理解されいていない」。
いずれも、“パーパスが現場レベルに落ちていない” という課題があり、その結果アクションや成果につながっていないことが推測できます。

従業員の自社への認識と継続成果率

 次に、パーパスを規定し継続的な成果を生み出している企業の従業員は自社に対してどのような認識を持っているのかを見てみます。パーパス継続成果率が高い企業とパーパスブランディングの関係を示したのが以下のチャートです。

 パーパス継続成果率が高い企業は、そうでない企業と比べて「社会から好感を持たれている」「社会から応援されている」「社会から尊敬されている」という自覚があることが分かります。このことから、パーパスを通して成果を生み出し続けるには、パーパスブランディングを通して社外からも「好感・応援・尊敬」を勝ち取っていくことが重要だと言えます。

従業員の「誇り」に寄与する要素

 続いて、以下のチャートは「自分の仕事への誇り」を目的変数(結果)として、その原因を分析する「causal analysis」の結果です。[s](※2)[/s}

「自分の仕事への誇り」に対して大きな影響を与えているのは「社会からの応援・好感・尊敬」であることが分かります。さらに「社会からの応援・好感・尊敬」に寄与しているのは「自社の社会的認知・浸透」でした。

パーパスで成果を生み出す8つの項目

 ここまで、「自社の社会的認知・浸透」→「社会からの好感・応援・尊敬」→①従業員の仕事への誇り②継続成果率の双方に影響を与えていることが分かりました。
 では、社会に対してはどんな企業であると認知・浸透されるといいのでしょうか。パーパス継続成果率が高い企業の特徴を以下のチャートで見ていきます。

 横軸はパーパス継続成果率が高い企業の自社認識としてスコアが高い特徴ほど右に、縦軸はパーパス継続成果率が低い企業と比べた時により高くなって特徴が上に配置されるようになっています。例えば、右上にプロットされた「長期的な視点」「社会に対するビジョン」は、パーパス継続成果率が高い企業に特に顕著な特徴となります。
 同じく右上のエリアにある以下8つの特徴は、パーパスを通して成果を生み出し続けるために向上させていくべき特徴と言えます。
① 長期的な視点
② 社会に対するビジョン
③ 社会的使命・志
④ 困難な課題に取り組むカルチャー
⑤ 戦略の一貫性
⑥ 失敗から学ぶカルチャー
⑦ 社会課題の解決に貢献
⑧ 顧客に誠実なカルチャー

ファインディングス

  1. パーパスを規定している企業でも、「現場レベルまで共感・共鳴されいていない」「現場レベルの行動に落ちていない」といった現場への落とし込みに課題を抱えている。
  2. パーパス継続成果率が高い企業は、そうでない企業と比べて「社会から好感を持たれている」「社会から応援されている」「社会から尊敬されている」という自覚がある。
  3. 従業員の「仕事への誇り」に対して大きな影響を与えているのは、自社に対する「社会からの応援・好感・尊敬」。自社に対する「社会からの応援・好感・尊敬」に寄与しているのは「自社の社会的認知・浸透」。
  4. パーパス継続成果率が高い企業は、そうでない企業と比べて「長期的な視点」
    「社会に対するビジョン」を自社の特徴として認識している。

 今回ご紹介した調査の詳細結果に関しては、朝日広告社コーポレートサイト内「ASAKOが解決できること」から無償でダウンロードして頂けます。

ソリューション資料のダウンロードはこちら

これからパーパスブランディングを始める方へ

 パーパスブランディングを検討するに当たって、

  1. そもそも何から手を付けて、どのように進めていいかが分からない
  2. どのような論点を検討すればいいかが分からない
  3. どのような論点を検討すればいいかが分からない
  4. パーパス規定やインナーブランディングで終わらせず、広告やホームページリニューアル、PRなどのアウターブランディング施策までワンストップで支援してほしい

 などの課題・要望がありましたら、ぜひ気軽に当社までご相談ください。

 パーパスブランディングは、今後の貴社ブランドの「在り方」を決定づける、極めて重要な取り組みです。
「さあ!パーパスを考えよう!」という機運が生じても「パッ」と思い浮かぶものでもなく、組織の「認識」や「足並み」をそろえるのも、簡単なことではありません。
 もし当社にご相談いただければ、パーパスブランディングに関するフレームワークや始め方・進め方、事例などを紹介させていただくので、お気軽にお声がけください。



※1:『ASAKOインナーパーパススコア™調査』

調査タイトル:パーパスに関する調査
調査手法:インターネット
調査期間:2022年11月11日~2022年11月22日
対象者条件:
・20~59歳男女
・会社員・経営者・役員の方
・200人以上の規模の企業にお勤めの方
回答数:下記55業界計6,613
【一次産業】水産・農林 76、その他一次産業 47
【消費財メーカー】食品・飲料 132、パルプ・紙 103、化学・化学品・化粧品 137、薬剤・医薬品 103、電気機器 194、輸送用機器 164、情報通信機器 103、日用品 103、
【生産財メーカー】プラスチック製品 103、鉄鋼・非鉄 121、金属製品 103、機械器具 108、精密機器 165
【卸・商社】総合商社 201、食料・飲料卸 103、電気機器卸 103
【小売り】百貨店 103、スーパー・コンビニ 205、衣服・履物小売 169、食料・飲料小売103、家電・電気機器小売 103、医薬品・化粧品小売 103、ホームセンター 78
【金融】銀行・信託 180、クレジット 103、証券・先物 103、保険 178
【建設・不動産】建設 150、ゼネコン 103、不動産 114
【輸送・物流】鉄道 103、道路輸送 109、倉庫 103、郵便・運輸サービス 148
【飲食】飲食店 103
【レジャー】旅行 103、娯楽 103、宿泊所・ホテル 125
【生活インフラ】通信 108、電気・ガス・水道 103
【マスコミ】放送 85、出版・印刷 156
【IT】SIer 103、情報サービス 135、ソフトウェア 127
【医療・福祉】病院・医療 151、老人福祉・介護 103
【教育】教育支援業 119、学校 103
【その他】理容・美容 87、清掃業 103、クリーニング業 58、自動車修理・補修業 211

※2:従業員の「誇り」に寄与する要素|各因子の内訳

  1. 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
  2. また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
  3. 各記事における最新の動向につきましては、当社までぜひお問い合わせください。

著者プロフィール

プロフェッショナルズストラテジックプランンナー村田 理紗(むらた りさ)

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  • #ブランディング
  • #マーケティングリサーチ
  • #マーケティング戦略
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「出典:朝日広告社「アスノミカタ」●年●月●日公開記事」

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