ESGが進まない原因:トランスフォーメーションの欠如
「ESGの方針を掲げても浸透しないと嘆く経営者」と「ESGと言われても自分ごとにならない現場」。
多くの企業が感じているこの“ギャップ”の正体--
その核心にあるのは、組織の変革=トランスフォーメーションが起きていないことです。
ESGの取り組みとは、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)という枠組みの中で、
企業そのものを変革していく営みです。
しかし「人」が変わらないまま制度やツールを整えても、組織は動きません。
トランスフォーメーションが起きない理由
ESGは「環境」「社会」「ガバナンス」の3つの柱から成り立っています。
これらを機能させるには、それぞれに対応したトランスフォーメーションが必要です。
• GX(Green Transformation)
省エネや再エネ導入だけでなく、排出量の測定や削減計画を組織全体で運用する力が問われる。
• PX(People Transformation)
人材不足の時代に、社員が学び直しや挑戦を続けられる組織文化の整備が欠かせない。
• DX(Digital Transformation)
システム導入が目的化しがちだが、データに基づいた意思決定と情報共有へと組織を変えなければ成果は出ない。
つまり、GX・PX・DXのいずれも組織そのものが変わらなければ、ESGの成果は実現できません。
共通するのは、「仕組みやツールの前に、“組織”を変えるプロセスが抜けている」という構造です。
PXとは何か? ― すべての変革の起点になる「組織と人の変革」
PX(People Transformation)とは、「組織や人の価値観・考え方・関係性」を変えること。
つまり、変化を受け入れ、主体的に考え、行動できる人材とチームを育てることです。
PXは、他のどの変革よりも“最初に取り組むべき基盤”になります。
なぜなら――
GXもDXも、最終的にはESGも、最終的には「人」が運用し、「人」が意思決定し、「人」が行動するからです。
組織が変わらないままでは、どんな制度や設備も一過性で終わります。
ESGの本質は、CSR活動ではなく、企業の経営そのものを持続可能にする仕組みです。
そのためには「人材育成(PX)」「データ経営(DX)」「環境対応(GX)」が連動して動く必要があります。
主体性を発揮し、安心して挑戦できる文化をつくり、データを基盤に意思決定する――
これらはすべて“組織変革”の領域です。
PXが進めば、人的資本経営や人材不足の課題も同時に解決に向かいます。
企業のボトルネックでもある「人の問題」にもアプローチできるのです。
組織や人のトランスフォーメーションを起こすには?
― 組織開発 → 仕組み → ツールの順に変える
どんなトランスフォーメーションも、この順番でしか変化しません。
組織開発(人が動く土台)
信頼・対話・心理的安全性・フォロワーシップを育む。
“上から動かす”ではなく、“自ら動く”チームをつくる。
仕組み(行動を支える設計)
ルール、制度、情報共有などを再構築し、行動を定着させる。
試行錯誤を許容するアジャイルな文化を根付かせる。
ツール(加速させる技術)
初めてここでシステムやノウハウが活きる。
ツールは「変革の起点」ではなく、「変革の結果」を支える装置である。
この流れを飛ばして、ツールやノウハウから始めると、ほぼ確実にうまくいきません。
PXで組織が変革することで、初めてGXやDXが“自走”し、ESG全体が機能し始めます。
まとめ ― 変革の順番を間違えない
• ESGの停滞原因は「PX=人の変革」が起きていないこと。
• GXもDXも、「組織開発 → 仕組み → ツール」の順に動く。
• 人が変わらない限り、どんなトランスフォーメーションも成功しない。
人が変わる組織こそ、持続的に進化する企業の条件である。