新しい成長へのキーワード「ウェルビーイング」
SDGs、ESG投資に続き、ここ1~2年で急速に注目されているキーワードがあります。それは「ウェルビーイング」です。2021年の政府の成長戦略実行計画の中にも「国民がWell-beingを実感できる社会の実現」とあり、「ウェルビーイング」がこれからの新しい成長に重要なテーマとして記載されています。
「ウェルビーイング」という言葉が初めて登場したのは、1946年の世界保健機関(WHO)が設立された時とされていますが、その言葉がなぜ今注目されているのでしょうか。本記事では主にその背景について取り上げたいと思います。「ウェルビーイング」を理解する上での参考になり、今後、企業・ブランドが社会・個人とのエンゲージメントを深める活動の一助になれば幸いです。
「ウェルビーイング」の意味・定義
「ウェルビーイング」とは何でしょうか。「ウェルビーイング(Well-being)」自体は訳すと「幸福」「福祉」等と訳されますが、意味や定義を説明する際によく引用されるのが、世界保健機関(WHO)憲章前文にある「Health(健康)」の定義にある考え方です。
また、厚生労働省はウェルビーイングを「個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」としており、世界保健機関(WHO)の考え方を取り入れた説明をしています。
身体、精神、社会といった「多面的な」視点や、良好な状態といた「持続的な」視点が、ウェルビーイングの意味として重要な要素と言えそうです。
ウェルビーイングが注目される背景
①コロナ禍による意識変化
2019年末から新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、私たちの日常生活は大きく変化しました。感染予防対策として、マスクや手洗いの徹底による衛生意識の高まりはもちろん、外出自粛や自宅待機によってもたらされた、物理的制限による「運動不足」や閉塞感や不安による「ストレス」などから健康意識も高まりました。
また、出社制限によるリモートワークの浸透によって「働き方」も大きく変化しました。「家族との時間」が増えたり、場所にとらわれない「ワーケーション」という仕事のスタイルも広がりました。コロナ禍が、健康やワークライフバランスを見直すきっかけになり、一人ひとりのウェルビーイング意識を向上させることにつながったと考えられます。
②経済価値追求型の成長の限界
2021年の世界経済フォーラムでは、テーマを“グレートリセット”とし、経済価値の追求による成長システムの限界を示唆しています。世界経済フォーラム創設者であり会長のクラウス・シュワブ氏は「人々の幸福を中心とした経済に考え直すべきだ 」と述べ、ウェルビーイングの重要性を世界に発信しました。
また、経済協力開発機構(OECD)の「Education2030」の共有ビジョンに「私たちには、全ての学習者が、一人の人間として全人的に成長し、その潜在能力を引き出し、個人、コミュニティ、そして地球のウェルビーイングの上に築かれる、私たちの未来の形成に携わっていくことができるように支えていく責務がある。」との記述があり、これからの教育の在り方について、複雑な社会課題が拡大していく時代へのアプローチとして、ウェルビーイングに価値をおいた新しい進化の必要性を訴えています。
③SDGsの広がり
2015年、SDGsが国連サミットで加盟国の全会一致で採択されてから、“誰一人取り残さない”をキーワードに、持続可能性を追求する社会へと大きく流れが変わりました。2021年に当社が行った調査でも、認知率が84.2%(※1)という結果となっており、SDGsが広く浸透していることがうかがえます。SDGsには、持続可能な開発を実現するために、17ゴール169ターゲットという非常に多くの視点があります。まさに、ウェルビーイングに重要な「持続性」「多面性」という要素と重なっており、SDGsの広がりが土台となり、ウェルビーイングの注目につながっていると考えられます。