パーパス ウェルビーイング サステナビリティ 2023.04.27
ウェルビーイング・マーケティングを具体化する“よりよく生きる”を考える 60の 視点

目次
ウェルビーイング・マーケティングにおける課題とは
経済協力開発機構(OECD)「より良い暮らし指標(BLI: Better Life Index)」
内閣府「満足度・生活の質に関する調査」
よりよく生きるを考える「60 のウェルビーイング指標™」の開発
ブランドのウェルビーイングシフトを支援

ウェルビーイング・マーケティングにおける課題とは

コロナ禍による健康や生活意識の変化、右肩上がりの経済成長への限界、そして SDGs の広がりなどを背景に、今、“ウェルビーイング”という考え方が、重視されています。企業やブランドのビジネス環境は、サステナブルな社会のみならず、ウェルビーイングな暮らしの実現にもコミットが求められるものに変化しています。
SDGs については 17 ゴールと 169 のターゲットという目標が明確化され、多くの企業で取り組みが活発化している状況にあると言えます。一方、ウェルビーイングはどうでしょうか。
ウェルビーイングは、「肉体的」「精神的」「社会的」に満たされている状態と言われていますが、少し概念的で漠然とした印象があります。企業の事業活動、ブランドのマーケティングやコミュニケーションにどう取り入れたらよいのかわからないといった声も聞かれます。
当記事では、ウェルビーイングをより具体的に考えるための手掛かりを取り上げていきます。

経済協力開発機構(OECD)「より良い暮らし指標(BLI: Better Life Index)」

OECD は 2011 年から「OECD より良い暮らしイニシアチブ(OECD Better Life Initiative)」を開始。GDP を越えた幸福度を測る「より良い暮らし指標(BLI, Better Life Index)」の分析と公表を行っています。この指標は、物質的生活状況と生活の質の2つの領域を含んでおり、物質的生活状況は「住宅」「所得」「雇用」の3項目、生活の質は「社会的つながり」「教育」「環境」「市民参画」「健康」「主観的幸福」「安全」「ワークライフバランス」の合計 11分野において、40 カ国の指標を比較できるようになっています。
これまで国の経済規模を測る GDP が、あたかも国の幸福度の物差しかのように考えられていた状況に対し、視点を「暮らし」にシフトした指標を用いており非常に興味深い取り組みと言えます。ただ、各国の比較による状況把握を主眼としたプロジェクトのため、より深く生活者の課題を把握するには向かないかもしれません。
出典:
https://www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/h28_kaihatsu/2_02_4_1.html
https://www.oecd.org/tokyo/statistics/aboutbli.htm
https://www.oecd.org/tokyo/publicationsdocuments/Beyond_GDP_Servicology2020.pdf

内閣府「満足度・生活の質に関する調査」

内閣府も同様に、経済社会状況について、GDP だけではない幅広い視点での「見える化」が重要と考え、2019 年より「満足度・生活の質に関する調査」を開始しています。この調査は、先ほどの経済協力開発機構(OECD)「より良い暮らし指標(BLI: Better Life Index)」を参考にした「家計と資産」「雇用環境と賃金」「住宅」「仕事と生活」「健康状態」「自身の教育水準・教育環境」「社会とのつながり」「政治・行政・裁判所」「自然環境」「身の回りの安全」「子育てのしやすさ」「介護のしやすさ・されやすさ」「生活の楽しさ・面白さ」の 13分野についての満足度を把握する調査となっています。各分野の満足度を俯瞰して把握するのに役立つ情報を得ることができます。ただ、例えば「仕事と生活」の満足度をひとくくりにしている点など、企業が事業活動やマーケティングのテーマとして考えるには、まだ焦点が甘く、取り扱いにくいのではないでしょうか。
出典:
内閣府「満足度・生活の質に関する調査」(2023.04.19),
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/index.html
内閣府「満足度・生活の質に関する調査報告書 2022 ~我が国の Well-being の動向~」(2022.07.29),
https://www5.cao.go.jp/keizai2/wellbeing/manzoku/pdf/report06.pdf

よりよく生きるを考える「60 のウェルビーイング指標™」の開発

ASAKO は、経済協力開発機構(OECD)「より良い暮らし指標(BLI: Better Life Index)」、内閣府「満足度・生活の質に関する調査」を参考に、さらにグループインタビューも行い、ウェルビーイングに関する充足度を測る「60 のウェルビーイング指標™」を独自に開発しました。
「自分自身」「自身の経済・成長」「生活環境」「周囲との関わり」の 4 つの領域を定め、各領域において 3 つの分野を整理。「自分自身」は、「心」「身体」「生き方・余暇」。「自身の経済・成長」は、「お金」「学び」「仕事」。「生活環境」は、「安心・安全」「暮らし」「住まい」。「周囲との関わり」は、「地域・社会」「他者」「家族」、合計 12 の分野の状況を把握することができます。工夫した点としては各分野にさらに 5 つの分析要素を加え、合計 60 の視点で多角的に生活者のウェルビーイングを調査・分析できるフレームを開発しました。例えば、「自分自身」における「心」の分野では、「ストレスは無い」「気分転換」「自分の時間」「生活の充実」「自分が好き」といった要素での分析が可能となります。このように、各分野に関する充足度を一歩踏み込んだ形で、生活者一人ひとりの“よりよく生きる”を把握し、考えることができるようにしました。
ASAKO はこのフレームを活用して、前回調査(2021 年 11 月)に引き続き、「第 2 回ウェルビーイング調査」(2022 年 11 月)を実施しました。多角的な視点で、性別、年代別における未充足課題を分析・レポートしています。貴社の事業やマーケティング活動とウェルビーイングをつなげる参考としてぜひご活用ください。
※今回ご紹介した調査の詳細結果に関しては、朝日広告社コーポレートサイト「ASAKOが解決できること」から無償でダウンロードしていただけます。
https://www.asakonet.co.jp/download/

ASAKO「第 2 回ウェルビーイング調査」概要

  1. 調査目的:
    ①サステナブル分野における 20 のキーワードの認知・共感
    ②生活者の幸福度および、日常生活の様々な領域での充足度
    について定量的(一部定性的)に把握するため
  2. 調査名:
    ウェルビーイングについての調査
  3. 調査手法:
    インターネット調査
  4. 対象者:
    20~80 代の男女、全国(性年代での均等割付)
  5. サンプルサイズ:
    2,800
  6. 調査実施日:
    2022 年 11 月 21 日~2022 年 11 月 24 日
  7. 調査主体:
    ASAKOサステナラボ®

ブランドのウェルビーイングシフトを支援

生活様式の変化、価値観の変化により、ウェルビーイングへの動きがますます活発化していくことが予測されます。ASAKO では、サステナブルな社会実現のために、一人ひとりの“よりよく生きる” を考える研究チーム、サステナラボ®を設置。ウェルビーイングをテーマにした調査の実施やソリューションの提供を行っています。ウェルビーイング視点でのブランドと生活者との新しい関係の見立て直しによる、新たなビジネス機会創出やコミュニケーション開発をサポートいたします。まずは、気軽にご相談いただけると幸いです。

  1. 所属等は執筆当時のもので、現在とは異なる場合があります。
  2. また記事中の技術、手法等については、今後の技術の進展、外部環境の変化等によっては、実情と合致しない場合があります。
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著者プロフィール

プロフェッショナルズプランニング・ディレクター横尾 輝彦(よこお てるひこ)

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  • #ウェルビーイング
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「出典:朝日広告社「アスノミカタ」●年●月●日公開記事」

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