組織・採用・エンゲージメント

2025.09.16

企業規模別で見るインナーブランディング成功の秘訣:エンゲージメント向上と採用難克服の戦略

本記事の要約

採用難・離職率上昇・エンゲージメント低下の課題解決策として、インナーブランディングが注目されています。
ASAKOの調査によると、パーパスへの共鳴と経営トップからの直接発信が誇りと成果向上の鍵です。小規模企業はスピードと直接性、中規模企業は重層的接点、大規模企業はスケーラブル発信が有効で、規模別最適戦略が成功を左右します。
いま、多くの企業が採用難、離職率の上昇、そして従業員エンゲージメントの低下という経営課題に直面しています。優秀な人材を採用し、長く活躍してもらうことはますます困難になっており、その解決策として注目されているのがインナーブランディングです。
社員一人ひとりが自分の仕事や会社に「誇り」を持てるようになれば、生産性の向上、定着率の改善、採用時の魅力度向上といった成果を同時に実現できます。つまり、インナーブランディングは単なる社内施策ではなく、経営基盤を強化する戦略的取り組みなのです。
本記事では、ASAKOが実施した最新調査データをもとに、企業規模別に見たインナーブランディングの成功要因を徹底分析。トップ発信の重要性からチャネル戦略まで、規模に応じた最適アプローチをご紹介します。

目次

分析概要

今回の調査は、企業規模(小規模・中規模・大規模)および業態別に分類し、各社のインナーブランディング施策とその効果を比較分析しました。

 

本分析では、特に以下の2つのデータを軸に考察を行いました。

 

企業規模別インナーブランディング戦略とエンゲージメント向上の課題解決

自社のパーパスが明確に定義され、社員がそれに共鳴している企業ほど、誇りやエンゲージメントが高い傾向が見られる。

 

 

 

 

 

採用難に強い中小・大企業のパーパス共鳴マーケティング手法

― 全規模・業態で共通して最も効果が高かったのは「経営トップからの直接的な説明」。

 

― その他上位施策としては、社内イントラネット、配布物(冊子・パンフレットなど)、自社ホームページなど、複数チャネルを活用した情報発信が挙げられる。

 

 

 

 

 

これらのデータをもとに、「成功している企業の共通点」と「規模別の最適解」を詳しく解説します。

 

経営トップの直接発信がもたらす社員の誇りと組織力アップ

調査結果から明らかになったのは、パーパスへの共鳴度が高い企業ほど、社員の誇り(エンゲージメント)スコアが最大で40ポイント近く高くなるという圧倒的な差です。

 

パーパスが単なるスローガンではなく、社員一人ひとりの価値観や日々の業務と結びついている企業ほど、採用力・定着率・生産性の向上が顕著に表れます。

 

さらに、規模や業態を問わず共通して1位となった施策が、「経営トップからの直接発信」です。

 

ビジョンやパーパスを「源泉からの言葉」で直接聞くことで、社員はより強い納得感を得られます。そして、その言葉は経営の本気度を象徴し、組織全体に信頼と一体感を生み出します。

 

こうしたパーパス共鳴 × トップ発信の組み合わせこそが、インナーブランディング成功企業に共通する最強の基盤といえます。

 

 

従業員規模別成功パターン

 

小規模企業(〜500人未満)

特徴:社員同士や経営陣との距離が近く、情報が直接届きやすい。

成功施策:トップ発信+即時性のあるイントラ・メール。

ポイント:スピードと直接性を重視。トップの言葉がダイレクトに社員へ届くことで、高い納得感と一体感を醸成できる。

 

 

中規模企業(500〜3,000人未満)

特徴:拠点や部署の数が増え、情報が一度の発信では全員に行き届きにくい。

成功施策:デジタル(イントラ・HP)×アナログ(配布物)の併用。

ポイント:複数のチャネルを組み合わせ、重層的な接点を設計。オンラインとオフラインを繰り返し活用することで、記憶定着と浸透度を高める。

 

 

大規模企業(3,000人以上)

特徴:物理的な距離や階層構造が大きく、直接対話が難しい。

成功施策:動画配信や全社ポータルでの繰り返し発信。

ポイント:スケーラブルで再視聴可能なコンテンツを整備し、拠点や部署を超えて均一なメッセージを届ける。時間や場所を問わずアクセスできる仕組みが鍵。

 

よくある質問(FAQ)

Q1. インナーブランディングで社員のエンゲージメントはどう向上しますか?

A1. パーパスへの共鳴と経営トップの直接発信により社員が組織のビジョンを理解し、誇りを持つことでエンゲージメントが大幅に高まります。規模に合わせたチャネル設計も効果的です。

 

Q2. 小規模企業が取るべきインナーブランディングの施策は何ですか?

A2. 小規模企業はトップの言葉を直接伝えるスピード感とイントラネットやメール活用による即時性が浸透の鍵となります。

 

Q3. 採用難を克服するためのインナーブランディングのポイントは?

A3. 採用競争が激しい中、社員の誇りや組織文化を強化し、それを外部に伝えるパーパス共鳴施策が応募者の共感を得る重要な要素です。

 

まとめ中長期視点での設計と投資

インナーブランディングの成功には、企業規模に応じた戦略設計が不可欠です。

 

小規模ではスピードと直接性、中規模では重層的な接点、大規模ではスケーラブルな発信基盤――それぞれに適したアプローチを選択することが、浸透度と効果を左右します。

 

その基盤となるのは、パーパスへの共鳴と経営トップからの直接発信です。これに加え、規模や組織構造に最適化したチャネルを組み合わせることで、社員の「誇り」と事業成果を両立できます。

 

インナーブランディングは単なる社内広報施策ではなく、長期的な採用力・定着率・生産性を同時に高める経営戦略です。いまこそ、中長期視点での設計と投資が求められます。

 

 

PROFILE 著名者プロフィール

羽田 康祐 はだ こうすけ

  • ストラテジックプランニングディレクター
著者について詳しく見る
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