ソリューション・事例
2025.09.16
パーパスブランディングの本質と成功するブランド戦略の全ステップ|内外から選ばれる組織づくりとは
本記事の要約
パーパスブランディングとは企業が社会に存在する根本的価値を明確化し、それを基軸にブランド戦略や組織カルチャーを形成する手法です。
パーパスを共有することで従業員のエンゲージメントを高め、採用競争力の向上にも寄与します。
ASAKO Brand PRISMは、戦略設計から言語化、文化浸透、外部発信まで伴走支援し、持続的な組織変革とブランド価値創造を実現します。
目次
はじめに
企業は今、かつてないほど多様で大きな変化の波に直面しています。経営統合や買収、スピンアウト、社名変更、事業変革、事業再生、新中期経営計画の始動、さらには採用難や離職率の上昇――。
これらの出来事は、「自分たちは何を大切にしているのか」「なぜこの仕事をしているのか」を改めて問い直す絶好の機会でもあります。
しかし、変革の時代においては、単なるスローガンや一過性の施策では全社員の意識を束ねることはできません。
必要なのは、経営層から現場の一人ひとりまでが共有できる“共通言語”です。これがあれば、組織は同じ方向を向き、変化を乗り越える推進力を得ることができます。
そして今こそ、その“共通言語”の核として、自社の「存在価値=パーパス」を明確に掲げ、それを起点に内外から選ばれるブランドをつくる「パーパスブランディング」が求められています。
パーパスブランディングとは?社会的存在価値の再定義
ASAKOが考える「パーパス」とは、単なる企業理念やミッションではなく、その企業が社会に存在する価値──すなわち「社会的存在価値」を意味します。
これは、「私たちは何のために存在するのか」という根源的な問いに対する答えであり、組織の意思決定や行動の軸となるものです。
パーパスブランディングの目的は、パーパスを起点に感情移入を生み出し、求職者・従業員・顧客といったあらゆるステークホルダーから“指名で選ばれ続ける状態”をつくることです。
これは一時的な好感度や認知度ではなく、「この企業だからこそ選ぶ」という強い動機づけを醸成する取り組みです。
たとえば、水処理ソリューションの大手企業が「浄水技術の提供企業」という枠を超え、「世界の人々が水問題で悩まなくてもよい社会を実現する企業」へと存在価値を再定義するケース。
あるいは、学習塾向けのAI教材を提供する企業が「学習支援サービス」から、「学びを自信に変えた若者が次々に社会に羽ばたく未来をつくる企業」へと変化するケースです。
ASAKOが目指すのは、こうしたビジネス目的と社会目的が重なり合い「この企業を選ぶことは、社会をより良く変えることと同じ」という構図を創り上げることです。
顧客に選ばれること、従業員が誇りを持って働けること、社会から応援されることが、すべて同じ目的地へとつながるブランドを実現することがゴールです。

パーパスブランディングがもたらす組織とブランドの持続的変化
パーパスブランディングは、単に企業メッセージを刷新する活動ではありません。組織の内側から外側まで、そして社会にまで波及する、持続的な変化をもたらします。その変化は大きく4つの領域に現れます。
1.従業員の変化
パーパスが明確になると、従業員はその言葉に意味や誇りを感じ、自らの仕事を「社会的意義のある行動」として再定義できるようになります。
日々の業務は単なる作業ではなく、社会への貢献として意味づけられ、モチベーションやエンゲージメントが高まります。
2. ストーリーの変化
従業員一人ひとりがパーパスに共感し、自分の言葉で語れるようになることで、「私たちのブランドは社会をどう変えるのか」という一貫した物語が語れるようになります。
このストーリーは単なる広報メッセージではなく、現場のリアルな体験と結びついた説得力あるものになります。
3. ブランドの変化
パーパスが浸透し、ストーリーが統一されることで、顧客・求職者・ビジネスパートナーといったあらゆるステークホルダーから共鳴感情を引き出せます。
その結果、「条件」ではなく「そのブランドだから選ぶ」という指名買いの関係が築かれます。
4. 社会の変化
やがて、その企業を選ぶこと自体が「社会をより良く変えるのと同じとして認識されるようになります。
商品やサービスの提供を超えて、社会課題の解決や未来の創造に貢献する存在としてブランドが評価され、その影響は世の中全体に波及していきます。

従業員エンゲージメントと採用力を高めるパーパスブランディングの効果
パーパスブランディングによる「従業員エンゲージメント効果」と「採用効果」は以下の通りです。
効果❶従業員のエンゲージメント向上効果
パーパスを掲げ、従業員に共有・浸透させることで、従業員は「自分の仕事が社会とどうつながっているか?」が理解できるようになります。
その結果、単なる作業だった業務が、“より良い社会を実現するための仕事”として再解釈され、働く意味が変わっていきます。
つまり、パーパスは「働く意味の再発見」をもたらし、組織全体の推進力を高める重要な要素になるのです。
実事実、パーパスの浸透度と従業員のエンゲージメント(=仕事に対する誇り)との間には、非常に強い相関関係があることが、ASAKOの研究で明らかになっています。
◎「私は自分の仕事に誇りを持っている」と答えた人の割合
- パーパス未設定:38.5%
- パーパス設定済み:59.1%
- 自社のパーパスを“理解している”:70.0%
- 自社のパーパスに“納得している”:75.5%
- 自社のパーパスに“共感している”:78.1%
- 自社のパーパスに“共鳴している”:79.9%
→最大で+41.4ポイントの差

また、ASAKOには次のような喜びの声も寄せられています。

効果❷採用競争力の向上効果
さらに、パーパスを設定している企業と、設定していない企業では、採用の成果にも明確な差が出ています。
◎ 応募者数に対する満足度
- パーパス無:33.7%
- パーパス有:54.3%
→ +21ポイント
◎ 採用人数に対する満足度
- パーパス無:28.5%
- パーパス有:47.7%
- → +19ポイント
◎ 採用人材の質に対する満足度
- パーパス無:27.6%
- パーパス有:45.5%
→ +18ポイント
◎ 内定承諾率に対する満足度
- パーパス無:37.1%
- パーパス有:52.3%
→ +15ポイント
◎ 入社後の定着・活躍に対する満足度
- パーパス無:38.9%
- パーパス有:54.8%
- → +16ポイント

いずれの指標も、パーパスを明確にしている企業の方が、高い成果を上げています。
企業の存在価値を言語化し、その価値が共鳴される形で伝われば、応募者は単なる「待遇」だけでなく、「価値観」や「目的」に共鳴して集まってきます。
今、求められているのは、待遇や条件に加えて、 “人生の一部を費やすに足る理由”なのです。

パーパスブランディングのアプローチ
ASAKO Brand PRISMは、独自のフレームワークと共創型ワークショップを通じて、企業のパーパスを“言葉”と“行動”の両面で形にする伴走型ソリューションです。
経営層から現場までが一体となり、「自社が社会に存在する意味」を明確化・再解釈し、それを組織全体で共有・実践できる状態をつくります。
■ 7つの検討領域
パーパスを軸としたブランド戦略を構築するために、以下の7領域を体系的に検討します。
① ターゲットペルソナ
最も重要な顧客像と、その価値観を明確化します。
② ブランド提供価値
顧客に提供できる機能的価値と感情的価値、自己実現価値を定義します。
③ ブランドパーパス
提供価値を通じて実現したい社会の理想像を描きます。
④ ブランドパーソナリティ
ブランドが社会と共有すべき価値観や個性を言語化します。
⑤ ブランドポジショニング
市場における独自の役割や立ち位置を明確にします。
⑥ ブランドACT
人・組織文化・事業・広報など、ブランドを体現する施策をアップデートします。
⑦ ブランドシンボル
ブランドのスローガンやステートメントを策定し、象徴として定着させます。

■ 思考を広げる仕掛け
① ワークショップテンプレート
- PEST/3C分析テンプレート:外部環境や競合構造を可視化
- Persona FOCUSテンプレート:顧客像の具体化
- Brand PRISMテンプレート:ブランドの世界観・価値を可視化

② 言語化ツール
- 感情カード:ブランド体験に紐づく感情を言語化
- 価値観カード:掲げるべき価値観を抽出

③ 深い対話を生むファシリテーション:
正解を押し付けるのではなく、問いを共有し、参加者の視点を引き出すことで、本質的な洞察を導きます。ASAKOのファシリテーターは議論の土台を耕し、必要な「視点」と「深度」を提供しながら、プロジェクト全体をリードします。
プロジェクトの進め方
ASAKO Brand PRISMは、パーパスを「策定して終わり」にせず、組織文化として定着させ、市場での評価につなげるまでを視野に入れた伴走型ソリューションです。各フェーズが連動し、ブランドの社会的存在価値を実際の成果へと変えていきます。
1. 準備|目的・認識・方向性の共有
プロジェクトのゴールや背景を明確にし、経営層・関係部門間で目的と進め方の認識を揃えます。
2. 現状診断|ブランドの立ち位置を把握
社内外の声やデータを収集・分析し、ブランドの強み、課題、機会を整理します。
3. 外部環境分析|市場・競合・社会動向の整理
PEST・3C分析などを用いて、市場環境や競合の動き、社会的潮流を俯瞰します。
4. Brand PRISM策定|パーパスをデザイン
7つの検討領域を用いて、自社が社会に存在する価値(パーパス)とブランド戦略を共創します。
5. ステートメントデザイン|共有言語として定義
策定したパーパスを、社内外で共通理解できるスローガンやメッセージに言語化します。
6. 浸透ロードマップ策定|全社展開の設計
インナー・アウター双方の浸透施策を時系列で設計し、実行計画に落とし込みます。
7. インナー浸透|文化として定着
研修やワークショップ、社内施策を通じて、従業員が自らパーパスを体現する状態を育みます。
8. アウター浸透|顧客・市場への発信と評価向上
広告・広報・プロモーションを通じて市場にメッセージを届け、ブランドの評価を高めます。

主な活用シーン
ASAKO Brand PRISMは、企業が大きな変化や転換点を迎えるタイミングで特に力を発揮します。以下のようなシーンでの活用が効果的です。
① 経営統合・買収・スピンアウトなど大きな変化のタイミング
異なる文化や価値観を持つ組織を一つにまとめ、共通のパーパスで方向性を揃えます。
② リブランディングや社名・VI刷新の準備段階
刷新すべき要素と守るべき資産を明確化し、ブランドの本質的価値を再定義します。
③ 採用の強化が必要なとき
求職者に選ばれる理由を明確にし、企業の魅力をパーパスを通じて訴求します。
④ 離職率改善やエンゲージメント向上が必要なとき
従業員が仕事の意義や誇りを再認識し、主体的に動ける組織文化を育てます。
⑤ 中期経営計画にブランド戦略を組み込みたいとき
経営目標とブランドの社会的価値を一致させ、長期的な成長の基盤を築きます。
ASAKOの強み
パーパスブランディングは、単なるマーケティング施策ではありません。
企業の存在価値を再定義し、組織の内外に深く浸透させていく――そのプロセスは「経営と現場」「論理と感情」「戦略と表現」を一気通貫で束ねる「総合格闘技」とも言えます。
だからこそ、プロジェクトを委ねるパートナーには、単なる「知識」や「実績」以上に、幅広い視点、現場感覚、そして“人を動かす力”が求められるのです。
ASAKOの強みは、まさにその“総合力”にあります。
❶ 多様な専門家による“多角的な視点”
パーパスの策定では、多くの場合に「社内だけで考えると煮詰まってしまう」という壁に直面します。過去の経緯や部門間の力学、慣れ親しんだ言葉づかい――そうした“固定観念”が、自由な発想や根本的な問いを妨げてしまうのです。
ASAKOでは、ベストセラー書籍を手がけた戦略ディレクターや、複数業界のブランド支援を行ってきたプロデューサー、クリエイターなど、多様なバックグラウンドを持つ専門家がチームを構成しています。中立かつ俯瞰的な立場から、組織の中に眠る“気づかぬ価値”を引き出していきます。
❷ 従業員とともに汗をかく「伴走支援型」
パーパスは、経営陣が掲げる理想だけでは機能しません。現場で働く一人ひとりが「自分たちの言葉」として腹落ちし、日々の行動にまでつながる状態をつくることが、本来のゴールです。
ASAKOは「ともに腕まくりをする」ことを信条としています。ワークショップの現場では、従業員と同じ目線で問いに向き合い、ともに悩み、議論を重ねながら、納得感と実行力を備えたパーパスを共に創り上げていきます。
❸「左脳と右脳」を融合させたチーム編成
パーパスには、「論理的な納得感」と「感情を揺さぶる共鳴」の両立が求められます。
ASAKOでは、リサーチャーやストラテジストといった「左脳型」の専門家に加え、コピーライターやアートディレクターといった「右脳型」のクリエイターもプロジェクトに参加しています。数字と言葉、構造と感情を行き来しながら、「人の心に届くパーパス」をつくり上げ、実装していきます。
❹ ワンストップでの伴走体制
プロジェクトが進行するにつれて、ステークホルダーやアウトプットは多様化していきます。インナーブランディングからアウターブランディング、ESG施策、採用活動まで――そのたびに委託先が変わっていては、情報の断絶やコミュニケーションコストの増加を招いてしまいます。
ASAKOでは、戦略設計から言語化、デザイン開発、採用活動、広報・マーケティングまで、一貫した支援体制を構築しています。パーパスに込めた「意志」を最後まで守り抜きながら、社会に届けることが可能です。
❺ 変化に即応する「柔軟性」
パーパスプロジェクトは全社を巻き込むがゆえに、経営層や各部門からの“朝令暮改”は日常茶飯事です。
ASAKOでは、「急きょ、役員向けにプレゼンが必要になった」「社内稟議のために説得資料を追加してほしい」といった突発的な要望にも、スピーディーかつ柔軟に対応しています。
プロジェクトが“予定通り進まない”のは当たり前のことです。だからこそ、私たちASAKOは、どのような状況でも「前に進める」ための知恵と行動力で、貴社の変革を支えていきます。
【無料DL】ASAKO Brand PRISMソリューションガイド|パーパスを軸にしたブランド変革の全体像
ASAKOが独自開発した「Brand PRISM」は、
- 顧客に選ばれるブランドをつくる外部視点
- 従業員が誇りを持ち、行動に移せる内部視点
- 経済合理性と社会価値を両立させる戦略視点
を統合した、実践的なブランド変革フレームです。本資料では、Brand PRISMの全体像と設計プロセスを網羅的に紹介しています。
よくある質問(FAQ)
Q1: パーパス経営とは何ですか?
A1: パーパス経営は、企業が社会における存在意義・価値を明確にし、それを軸に経営やブランド戦略を進める手法です。企業理念を超えて「なぜ存在するのか」を深堀りし、従業員や顧客との共感を促進します。
Q2: パーパスブランディングが採用競争力に与える影響は?
A2: パーパスが明確な企業は、応募者の質や内定承諾率、入社後の定着率が向上します。待遇だけでなく価値観や目的に共鳴する人材が集まりやすくなり、競争優位に繋がります。
Q3: パーパス経営を組織に浸透させるにはどうしたらよいですか?
A3: 経営層から現場まで共通言語としてパーパスを策定し、ワークショップや研修を通じて社員が自分事化することが鍵です。伴走型の支援体制と戦略的な浸透計画が重要です。
まとめ 選ばれる理由
企業が大きな変革期を迎える今こそ、パーパスを軸に全社を束ねることが求められています。
明確なパーパスは、従業員の意欲を引き出し、求職者や顧客、パートナーから「選ばれる理由」をつくります。
パーパスブランディングは、単なるスローガンや理念の策定ではなく、経営・採用・マーケティング・事業戦略を横断して機能する企業の“羅針盤”です。
ASAKO Brand PRISMは、策定から社内浸透、そして市場浸透までを一貫支援し、変革期の企業を“社会にとって不可欠な存在”へと導きます。
